巡逢~茜色の約束~

「昨日は……ごめんね」



今の俺には、それはどんな言葉よりも重くて。



なんでお前が謝るんだ。

謝らなきゃいけないのは俺の方なのに。

俺だった筈なのに、目を逸らして逃げた。

俺は一体、どこまで。



「あれから反省したんだ。ルールは破るべきじゃなかったって。私が口出しするべきじゃ──」

「──やめてくれ!」



突然発した大声に、美生の肩がビクッと震えた。

けして軽くない空気でいる俺達を、波音が包む。



「……ごめんなんて、言うなよ」

「千速く……」

「俺……嬉しかったんだ。美生が真正面から向き合ってくれたことが、本当はすっげえ嬉しかった」