巡逢~茜色の約束~

「し、知ってるよ!」

「……だよな、流石に知ってるよな。クマノミ見たって、先にモニって名前が頭に浮かぶんだよ」

「わかる!友達も言ってた」

「やっぱり」



こんなくだらない会話を、どれくらい続けていただろう。

美生と過ごす時間は、かなり早く感じて。



「ペンギンショー、もうすぐだな。そろそろ向かうか」

「うん!」



今だけは、無垢だった頃の自分でいられるような気がしたんだ。





夕日が沈みかかった海が目の前に広がる。

水族館を満喫した俺達は、約束通り海へと足を運んでいた。



「綺麗だね、海」

「……あぁ」



海面に輝く太陽に目を細める。

美生のように波打ち際に行く元気は残ってなかったので、砂浜に腰を下ろした。

それが不満だったのか、美生は口を頬張ってこっちへ向かってくる。