巡逢~茜色の約束~

何となく顔を見られたくなくて、振り返ることなくペンギンショーが行われる場所へ足を進める。

そのあとを美生が駆け足でついてきたのがわかり、なんだか不思議な気分になった。



「ペンギンショーまでまだ時間あるな」



パネルに書かれていた時刻とケータイを照らし合わせ、そう伝える。

まだ3時間近くあった。



「じゃあ、ジンベエザメ見に行こう」

「あれ、お前クリオネ見たいんじゃねえの」



俺の言葉に、美生は首を横に振った。



「ペンギンショー優先してくれたんだもん。次は千速くんが見たいのを見なきゃ」

「いや、別に……そこまでジンベエザメが好きってわけでもねえし、気遣わなくても……」

「いいの!千速くんが見たいものを、私も見たいの!」



その笑顔は……卑怯だよ。