君の待つ現実に帰ろう。

心がほんの少し軽くなる。
もう少し頑張ろう。
現実への出口を探そう。
肉と血の燃える臭いと腐臭、後悔と絶望、恐
怖と悶え。
ここは人のいる場所じゃない。
そう異界だ。黄泉だ。

ザァザァ
ザァザァ

音のする方を見た。
窓だ。
現実への扉だ。
窓から見える景色は、灰
色の雲と雨で切ないけれ
ど、ここよりはマシだ。
ずっとマシだ。
こんな地獄よりは。

もう一度外を見た。

血に塗れるように、雨に濡れたそれら…


『白樺は空を見上げた。
     そして、立葵は泣いていた。』