「おまえの声がよく聞こえるようにね。」
「まぁ、なんて大きな目をしているの?」
「おまえをよく見れるようにね。」
「まぁ、おばあさん。なんて大きな手をして
いるの?」
「おまえを抱きしめられる様にだよ。」
「でも、おばあさん。なんてものすごく大き
な口をしているの?」



「おまえを食べるためだよ!」

 狼はそういうとペロリと一飲みにしてしま
いました。
 狼は久しぶりのごちそうをたいらげ、まん
ぷくするとベットにゴロリと横になり、グー
グーいびきをかいて寝てしまいました。
 そこへ、一人の猟師が通りかかり、

(おばあさんが,あんないびきをかくだろう
か。ちょっと様子を見てみよう。)

と思い、家の中に入ってベットの所まで来ま
した。
 すると、そこで眠っていたのは、猟師が長
いこと探していた狼でした。
 猟師は、

(待てよ、こいつおばあさんを食ったのかも
しれないな。)

と考え、銃で撃つのをやめにしてハサミでお
腹を切ることにしました。
 2,3度チョキチョキとやると赤いずきん
が見えました。
 もう少し切ると、中から女の子が跳び出し
てきて言いました。

「ああ、びっくりした。狼のお腹の中って暗
いんだもの。」

 おばあさんも生きて出て来ました。
 そして、みんなで狼のお腹に石を詰め込み
縫い合わせました。
 狼は目を覚ますと、急いで逃げようとしま
したがお腹の石があまりにも重かったので、
死んでしまいました。
 それで、みんなは仲良くお菓子を食べ、ワ
インを呑みました。
 そして、赤ずきんは、もうお母さんの言い
付けを破ったりはしない、と誓いました。