白樺は空を見上げた。 そして、立葵は泣いていた。

「ハア?…中間テストはまだまだ先よ…
今から勉強してどうするの?
もしかして馬鹿?」
「いやいや、どっかの誰かさんみたいに俺
はテストのための勉強はしないですよ~。
日々の積み重ねが大事なんでね。」
「ハイハイ優等生君。そ~んなに勉強したけ
りゃ、境内で勉強すればいいでしょ。」
「俺ン家にお前が泊まりに来て、何で俺が追
い出されにゃならんのだー!!!」

 なんでこいつはこんなに理不尽なんだ?
教えてくれた奴には金一封を差し上げるぞ。
陵の口座から。

「むふふ~お兄ちゃんとサキちゃんってなん
か犬がじゃれ合ってるみたいだね。」
「椛~。違うのよ。例えこいつが犬みたいな
可愛いもんでも、あたしは犬じゃないの。」
「そうだな、俺が犬なら陵は猿。正に犬猿の
仲だって訳だ。」
「え~でもそれなら私も犬なのに、サキちゃ
んと喧嘩しないよ?」
「そういう意味で言ったんじゃない。」
「…て言うか,なに人を猿扱い?」
「その通りじゃねぇか。」
「むか~!あんたなんか犬じゃないわ。獰猛
な狼よ!いや、さもしいハイエナね。ハイエ
ナ。」
「はいはい、ハイエナで良いですよー。」
「何それ~超酷くない?
なんで、そんなにツンツンツンツンしてんの
よ!
 あ、わかった、あれでしょ?
本当は~あたしに惚れてるんでしょ?
解るわ~あたしってモデルみたいに可愛い
もんね。
だから、照れ隠しにツンツンしてんのね。
 アレね、アレ。
ツンデレってヤツね、きっと。」
「やかましい。だ~れがお前なんかに惚れる
か!
そんなんだから、お前が家に来るのが嫌な
んだ。
いいか、来るなよ。絶対来るなよ。
そのキーキー五月蝿い口を縫い合わせて来る
迄はな。」
「きー!もう、楓なんか知らない知らない知
らなーい!!行こう椛!」

 俺をおいてさっさと先に行く陵。
まあ、本気で喧嘩してる訳じゃなく、これも
毎朝の恒例行事みたいなものなんだけれど。

いつも通りの,騒がしい朝だったな…。
さて、俺も教室へと向かうとするか…。
 
ところで,囲目総合が小中高一貫校で、市
中から生徒が来ることは話したが、おかげで
一学年18クラスのマンモス校である。