私も翔も、まだ小学生だった頃。
翔は野球が大好きで、すごくうまくて、皆と仲が良いようなクラスのムードメーカー的存在だった。
皆に優しくて、運動神経よくて、でもすごく頼れる翔とずっと一緒にいたいと思っていた。
…こんな事本人に言ったら、照れて怒るだろうけど。
家が近いこともあってか翔と私の親は仲が良く、私は翔と一緒に帰るのが日課になっていた。
ある日の帰路、卒業式を控えた私たちの中の話題は、中学校の話になった。
「あの、さ…」
「うん、どうしたの??」
あんないつも調子のいい翔が、弱くなるなんて珍しい。なにか、重要な話がある時の口調。
「俺、他県の学校に行こうと思う。」
「え……?」
他…県…?
じゃあ、もう翔とは会えなくなるの?
中学3年間、野球を頑張る翔を見れないの?
「俺はこのまま、野球を続けたい。だから、野球が強い中学に進みたいんだ」
それは…分かるけど……
じゃあ…もう、翔とお別れ?そんなの、嫌だよ…
だけど、でも…
「そっか。 ほ、他の中学校に行っても、頑張ってね。 や、野球とか…」
その時の私は、ただただショックだった。もう、翔と会えない。
翔と毎日歩くことも、隣にいることも、何も…できなくなる。
そんなの、嫌だった。
その日はどうやって、どの道を通って、翔とどんな話をしながら帰ったのかさえも覚えていない。

