夢の中、わたしは山道に立っていた。夕暮れ時の山は薄暗く、寒気がする。
怖い。早く帰らないと雪山猫が...。
歩き出した途端、正面から強い風が吹いてきて、尻もちをついてしまった。
立ち上がろうと目をあげる。
すると、いつの間にか辺りの木々が燃え上がっていた。真っ赤な炎に次々と木が飲み込まれていく。

暑い...。早く山から抜けないと。

そう思っても、燃えた木が折れて私の前の道をふさいだ。風が吹いて火の粉が舞う。
暑いよ。それに、煙で息が苦しい。

前に進めないので後ろに振り返って走り出すと、今度は突然暗い影が空から降りてきた。
「逃がさんぞ。下等な人間よ!」
轟くような声、わたしの目の前に降り立ってきたのは緋い龍。
金色の瞳がわたしを睨みつける。

「お願いです。家に帰らせて!このままじゃわたし...。」
「死ぬのか?」
カナタの声は嬉しそうだった。

「死ねばいいだろう!あの青龍はもう死んだんだ!!」
「青龍って、それって...。」
「貴様が匿っていた青目の龍だ。」
「...!!」