田辺君はその後私を屋上へ連れて行ってくれた。


「さっきはありがとう。
 助かったよ。」


「……れよ。」


田辺君の声は小さくて風にかき消されてしまった。


「え、なんて?」


「もっとオレのこと頼れよっっ!」


そう叫んだ田辺君はしまった、という顔をして顔を手でおおった。


「え…い、いいの…?」


「あ、あたりめーだろーが」


「ありがとうっ!
 わたし、うれっ…し、…ぅ…」


涙が出てきて最後の方は上手く喋れなかったけど、そんな泣きじゃくる私を田辺君はずっと抱きしめていてくれた。