そんなことを素直に言えない、勇気のないあたしは、ぎゅっと目を瞑って翔の言葉、行動を待つだけだ。
すると、ふっと空気が動いた気配がして、ガサガサという音がしたかと思ったら、チョコレートの甘い香りがふわりと漂った。
「……うまいよ」
「え?」
突然聞こえた翔の声に驚いて目を開けると、ふにゃりと表情を崩した幼なじみが、目の前にいた。
その手には、さっきあたしが強引に押し付けたチョコレート。
それの封は開かれていて、翔はもぐもぐとそれを食べていた。
え、なにこれ。どういうこと?
「翔、甘いもの嫌いなんじゃ……」
だって、女子からのチョコ、何度もそう言って断ってたよね?
そう思って聞けば、ムッと口を尖らせた翔は、照れくさそうに口を開いた。



