立ち去ることもできなくて、うつむいたまま、その場に立ちすくむ。
あー、翔、何か言ってよ本当に。
そんなあたしの心の声が届いたのか、「あー……」なんていう低いうめき声が聞こえた。
……これ、もしかしなくても、“困ってます”って感じの声だよね、明らかに。
そりゃそうか、ろくに会話もしてなかった、幼なじみ(仮)みたいな奴にチョコ貰ったって、困るだけだよね。
ああもう、慣れないことするから、こんなことになるんだよ!
「い、いきなりごめんっ。とりあえず、高校最後だし、大学離れちゃうみたいだし、記念に一応作ったっていうか……。でも、翔は甘いもの嫌いみたいだし、これ実はめちゃくちゃ甘いから、捨ててくれちゃっていいんだけど。でも、とりあえずもらっといてほしいっていうか!」
ギクシャクする前まで、毎年必ずあげていたチョコレート。
数年ぶりに渡したそれは、愛の告白つき。
声に出しては言えないけど、めちゃくちゃな意味わからないセリフでごまかしたけど。
翔のためだけに、作ったんだよ。
ずっと好きだったんだよ、翔―――……。



