ゆっくりと顔だけで振り返ると、そこに立っていたのはやっぱり翔で、一気に顔が赤くなるのが自分でもわかった。
不機嫌そうな表情で、あたしを見る翔。
用意していた言葉なんか、全部吹き飛んじゃって……。
「これ! 翔に!! 今年で最後だから、あげる!!」
「は……!?」
なんて、ムードもへったくれもないそんな言葉とともに、チョコレートが入った紙袋を、翔の胸に勢いよく押し付けた。
それを、翔は両手で受け止めてくれたから、あたしは急いで翔から少しだけ距離を取る。
翔の表情を見るのが怖くて、うつむいたままだったけど、きっと翔はびっくりしてると思う。
数年間、まともに口も聞いてない幼なじみから突然こんなことをされたら、誰だって驚くよね。
……あ。それに、“好き”って言ってない。
けど、この日にチョコを渡す意味、わかってくれるよね……?
というか、無理やり押し付けちゃたけど、大丈夫なのかな、これ。
受け取ってくれたってことでいいのかな。
突っ返されないけど、もらってくれたってことなの?
どっち!?
頭の中でいろいろ考えて、パニックになる。



