はぁ、とひとつ息を零す。
僕以外誰もいない美術室の窓からは肩を並べて楽しそうに校門を出る男女の姿が見えた。
今までに何度も見てきたシーンなのに、ここ最近やけに目につくような気がする。羨望や嫉妬に似た感情も伴って。
次に校門を出た男女は自転車を押しながらゆっくり学校を後にした。
元から仲が良くて、自然と結ばれた人もいる。
小さなきっかけやチャンスを上手くつかんで、大きな幸せを手にした人もいる。
噂されて、でもそこから一歩踏み出して愛し合えた人もいる。
そんな人たちの周りには茜色、薔薇色、桃色……暖色ばかり。
空はそんな色までも少しばかり匿っていく。
目を瞑って、そんな空の下、自分が校門を出ていくのを想像したとき
勝手に隣に上村アカリという女性を描いていた。
「恋、か」
そう口にした途端、身体中がほのか熱を帯びていくのを感じた。

