「そうだよな!兼太が気迷いなんて想像つかないぜ」
「もしかして、何か凄いコトでもあったのかと思ったぜ」
「凄いことって?」
「そうだな……、たとえば恋とか!」
「恋!?冷静メンズ略して冷メンの兼太に限ってそれはないだろー」
「そーそー、あ、恋っていえばさぁ、隣のクラスの……」
一通り騒いで、彼らはすぐ別の話題へ移った。
耳を傾けるふりをしながら、僕の頭の中に一つの言葉が巡っていた。
「恋、か」
そう小さくつぶやいた途端、フラッシュバックしたあの夕焼けと彼女の姿。
それを掻き消すように頭を振り、顔を上げると、空には韓紅の帯がうっすらかかっていた。

