蒼空と別れて急ぐ理由もないので家までの道をのんびり歩いて帰ることにした



今日はあったかいなぁー

眠くなってきた。

家に帰ったら昼寝しようっと




そんなことを考えながら土手道を歩いていると





下の川原に何かを見つけた





あれって、まさか…








嫌な予感がして私は土手を駆け下り、

その見つけた『何か』の近くまで走った




できれば私の予感が外れてくれてればいいんだけど…






しかし、私の嫌な予感は的中してしまった





服はドロドロのぼろぼろ


制服姿からするにたぶん学生


明らかに寝返りを打った時にできる汚れや軽く転んでできる汚れではなかった



これって、やばいんじゃ…!




「あああ、あの!だ、大丈夫ですか?」




どど、どうしよどうしよどうしよ!

全然動かないこの人!





「これ警察?いやそれより救急車?」




あれ、救急車って何番だっけ…
110?119?どっちだっけ


っていうか何て言えばいいんだろう!





「どうしよう…
早くしないとこの人死んじゃう…!」





ていうかそもそも死んでないよね?
この人…



と、とりあえず、息してるか確認して…
気道確保だ!!



学校で習った救急救命の知識をこんな時に使えなくていつ使うの、すなお!






そう思いうつぶせで倒れているその人を仰向けにさせようとして肩を強く掴んだ時





「ぃっってぇ!!」



「っきゃぁ!!」




その倒れている人が初めて動き、声をあげた

急にきたものだから私まで驚いて叫んでしまった



び、びっくりしたぁ


よかった生きてる!





「大丈夫ですか!?」




「……誰あんた」



かすれた声でその人はそう尋ねてきた




誰って言われても…





「えと…通りすがりの者です」




こう言うしかないよね?

急に名前言われても困るだろうし





「あっそ」




あっそ、って…





「あの…起きられますか?
手伝い、ましょうか」




「大丈夫、起きれる」





グググッと重そうに、痛そうに体を起こすので見ていられず

結局起こすのを手伝ってしまった





「ってぇーなぁ…くそが」



「す、すみませ…」



「え、あぁ、あんたに言ったんじゃねーから」



「あ、はい…」





様子や声からして相当怪我がひどいのが分かる



が、ブレザーの中に着ているパーカーのフードがすっぽりかぶってしまっていて顔がよく見えない




ただ、口元にピアスが1つあるのがちらりと見えた




口痛くないのかな?




初めて見たもんだから妙にピアスが印象づいてしまった



いや、こんな経験したのも初めてだけど






「あの、救急車呼びましょうか?」




「いらない」





低い声で冷たくそう言い放ったフードの人




なんか、すっごい怖そうな人だなぁ


早めに退散しよう





起き上がるのを手伝ったら帰ろうと考えた私だったが

よく見るとその人の着ている制服に見覚えがあった





もしかして…




「もしかして青葉高校?」




「え!?」





私が考えていたことと同じ質問を
その人にされ、心を見透かされたような気がして一瞬動揺してしまった






「その制服」




「あ、はい
青葉高校1年の湯川と申します」





「…別に、名乗らなくても」




「あ、そうですよね!すいません、つい。
…えっと、あなたも青葉ですよね?」



勢いで名乗ってしまった…
はずかし…



「そうだけど」