私は桃里さんの車に乗り込む。
なんか…ヤクザに連れてかれる感覚。



「話ってなんですか?」

「あの時、怒って悪かった」



え?それだけ?
それだけのために、車で来たの?それで恥ずかしい思いしたの?



「あっははっっ」



おかしくなった私は思わず声に出してしまう。
すると、桃里さんはムッとした表情をする。



「…なんだよ…葵」



お腹を抱えながら、ミラー越しの桃里さんを見る。



「私も言い過ぎたのと…。桃里さん可愛いですね」

「……。は?俺が可愛い?」



んーまぁ。顔とかじゃなくて。謝るとことか。
私じゃなくて、瑠威さんでも笑うと思うけど。



「…可愛いですよ」

「そ…うか?」

「ええ。はい」



お腹を抱えた後、元に戻り、もう一度、桃里さんを見つめる。
すると…向こうも見つめ返してくれた。





ドキン。





と胸が弾む。



「帰るか」

「…はい」