勢いよく回り続けた駒が段々勢いが衰えてきて

すべてが混ざって見えていた柄が段々とその姿が明らかになってきた。




「俺は・・・ももちゃんが好きだから・・・。」


コロン・・・そんな音と共に駒が止まった。



細く長い指で彼女が止まった駒を摘まんで

そっとひねって手を離すと、また駒は勢いよく回り始めた。



「ありがとう。あたしも・・・春さん好きだよ。

でもまだ、知らない事が多すぎるから・・・


正直・・・ブレーキかけてる自分がいるの。


だから、もっといろいろ知りたいなぁって。  


きっと、なんとなくあたしと似てる気がするから・・・


また、誘って。いつでも・・・」



「うん。また、会ってほしい。


俺ももっと知りたいから・・・


話したいから・・・。」



なんだか恐縮してしまって

体が硬くなってシドロモドロノ俺は嬉しい言葉を言ってくれているのに


嬉しそうな顔も出来ずに固まってしまっていた。



なんとなくそんな感情がうまく表現出来ない自分が

まだそんな純粋な自分もいたんだという驚きと共に嬉しさがあった。




コロン・・・猫の顔が斜めに俺を見つめて笑っていた。