元々男嫌いの春子は、ますます男なんて嫌みたいな顔をしていた。春子からの凌哉くんの評価はかなり下がったと言える。

柳田くんとの関係はどうなってるのか気になるところだが、今は聞くのはやめておこう…





「私も悪いんだよね…妃華ちゃんとベタベタするのが嫌なだけなのに、その事は言わないで一方的に言っちゃったし…」


どうしても妃華ちゃんのことは言えなかった。わがままって思われたくなかったし、それが理由で嫌われたくもなかったから…




「言えないですよね…私も沙世ちゃんの立場なら言えないと思います」

「…私もそうかなぁ」


寧々ちゃんと多美子ちゃんは、うーんと考えながら言う。




「私だったら言っちゃうかも~ってゆうか、沙世は尾神くんに言っていいでしょ!だってもう彼女みたいなもんじゃん」

「えっ…」


春子の発言に私が驚いていると、多美子ちゃんと寧々ちゃんもそこは春子に同意見なのか、うんうんと何度も頷いていた。




そうなの…?

そうだったの…????




いや…




「違う!違う!!!」


数秒考えてみた結果、私は完全にそれを否定した。




「なにが違うのー?」

「全っ然違う!彼女ではない!だってちゃんと告白の返事してないもん!」


私はそういうことは、なあなあで考えたくないの!自分は凌哉くんの彼女だと思ってたのに、向こうは違ってたら嫌だし…




「はいはい。沙世は顔に似合わず昔から真面目なのよね~もっと頭柔らかくすればいいのに」

「う、うるさいな」


私のことを一番よくわかってる春子の言っていることは、自分でもその通りだと思う。真面目であることは時に自分で自分の首を絞めるから…


しかし、春子はやっぱり私のことをよくわかってくれてる。こんな親友がいて私は本当に幸せ者だよ…

今日だって、心配して私のこと迎えに来てくれたんだし…






「あれ?ってゆうか、どうして私がその事で悩んでるってわかったの?」


春子達に一言そんなこと言ってないよね?






「昨日の学校での尾神くんが、なんか元気なかったのよね…それにあんたも休んでるから、なんかあったんだなぁと思ってさ」

「凌哉くん…元気なかったってどういうこと?」

「いつも男子達とたまってるじゃない?なのに昨日はずっと自分の席に座ってて、ぼんやりあんたの席見てたわよ」

「え…」


私の席を…?

凌哉くんが見てたの…?






「尾神くんも悩んでるんじゃないの?もう一回ちゃんと話してみたら?」

「でも…」


話してどうなるんだろう…

私が嫌なのは幼馴染みの妃華ちゃんとベタベタする事だけだけど、それを言ったらイコール2人の関係を壊してしまうことになるよね。

あんなふうに挨拶のように抱き合ったり、ほっぺにちゅーするのってきっと昔からそれが当たり前だったからだと思うから…だから私の前でも平気であれが出来るんだと思うし…





「凌哉くんのこと好きなんでしょ?」

「…うん」


好きだよ。

苦しいくらい好き…









がやがや


学校に着つくと、私達は下駄箱で靴を履き替えて4人で教室に向かった。内心ドキドキしながら周りをキョロキョロとして、凌哉くんがいないか確認する。

凌哉くんに行きあうことなく教室まで行くと、私はゴクリと息を飲み春子達に守られるように教室に入った。




この前は教室に入るなり生徒達にジロジロ見られたけど、今日はそうでもない…

あのコラ写真事件もあとを引くこともなさそうだ。