テレビも電気もついていないシーンとした部屋に、インターフォンの音が響く。




誰…?こんな朝っぱらから…

もしかして、洋平かお母さんが忘れ物したのかな…

…それとも………



ふっと頭に浮かんだのは、今一番会いたくない凌哉くん…

でも会いに来てくれたら…私は…



会いたいよ…





私はすぐに玄関に行き、鍵を開けて玄関のドアを開けた。




ガチャ…





会いたくないけど…会いたいよ。


だって好きなんだもん…







「おはよ」









ドアを開けると、そこにはにっこりと笑った春子の姿が…その後ろには多美子ちゃんと寧々ちゃんもいる。

凌哉くんではなかったけれど、違う意味でびっくりした私はドアノブを握ったままその場で固まってしまった…






「み、みんなどうしたの…?」


今日ってなんか約束してたっけ?

一瞬で考えてみても、みんながうちに来た理由はまだわからない…




「生きてたみたいね…」

「え?」


春子は私にぐっと近づくと、安心したようにそうつぶやいた。そしてすぐに眉間にシワを寄せて、すごく怖い顔をした。





「何1人で悩んでんのよっ!」

「は、春子?痛ぁ!…」


春子にデコピンをされおでこを手で押さえると、3人がぞろぞろと玄関先に入ってきて私を力強く抱きしめた。






「沙世ちゃん心配したよ…」


お母さんみたいなあったかい口調で言う多美子ちゃん。



「話してください」


か細い声で心配そうな表情の寧々ちゃん。



「あんたはひとりじゃないんだから」


そして、目に涙をためていう春子。







「うぅ…」


ずっとたまっていた涙が一気に溢れだし、私は3人に支えられながら子供のように泣いた。



こんな恥ずかしいこと、みんなに言う勇気なかったの…呆れられるのが怖かった…

それは間違いだったんだね。






「とにかく学校へ向かいましょ!」

「そうだね!このままだと遅れちゃう」

「歩きながら行くから」


春子は一旦靴を脱いでうちの中へ入り、私の部屋からカバンを持って来てくれた。私達はとりあえずうちを出て、4人で学校へ向かうことにした。

涙が落ち着いて来た頃、私はゆっくりと歩きながら凌哉くんとのことを話した。







「…なにそれ。尾神くん最低」

「その妃華とかいう女なんなの?」

「沙世ちゃんの気持ちわかります!」


みんなに全て話すと、3人は私を一切否定したり責めたりすることもなく私に共感してくれた。



こんなことなら、ひとりで悩んでないで早くみんなに相談すれば良かった…






「だから男ってキラーイ!女のこと全然やかってないよね~好きな子の前で幼馴染みといちゃつくとかありえなくない?」