春子に言われた通り軽い感じで挨拶したのに、尾神くんは隆也くんに怒り始めてしまう。
「ご、ごめんなさいっ!」
「おい隆也!なんで兄ちゃん怒ってんだ!!?」
急に怒り出した尾神くんに、洋平と隆也くんはびっくりしている。
「お、怒らないでよ!私が言い出したことで急に決まったから、隆也くんは何も悪くないよっ」
荷物をキッチンのテーブルに置いて止めに入ると、尾神くんは無表情で私を見下ろしてきた。
寝起きで髪ボサボサだけど、それはそれでかっこいいな…
それに今日初めて見る尾神くんに、ちょっとドキドキしちゃう…
「見んなよ」
「え、ちょっ…」
私の目もとを手で隠すとすぐに離し、尾神くんはリビングから出て行く。
大きなソファーには枕と毛布があり、手元のテーブルには空のペットボトルが2本置いてあった。
ソファーで寝てたの…?ちゃんと布団で寝た方がいいんじゃ…?
それに水分は取ってたのはわかるけど、ちゃんとご飯は食べたのかな?
リビングから出て行った尾神くんを気にしつつも、買い物袋から持ってきた食材をキッチンのテーブルに出す。
「隆也くん。冷蔵庫に食材冷やしていいかな?」
「うん、いいよー」
大きい冷蔵庫を開けて食材を冷やし、素早く扉を閉める。
まだ夕飯にはちょっと早いな…
でもお米は炊いておいてもいいよね…
広くておしゃれなキッチンをキョロキョロと見渡してみるが、炊飯器が見当たらない。
あれ?炊飯器ないのかな…
カタ…
するとドアの方に物音がして目を向けると、私服姿で髪を整えた尾神くんがこっちにやって来る。
「何してんの…?」
「ご飯作ってくれるんだろ?手伝うよ」
私に笑顔を向ける尾神くんだが、まだ体調が悪いのかすごく辛そうで顔色も悪い。
「すぐ部屋着に着替えて寝てなさいっ」
「なんでだよ…もう大丈夫だよ…けほっ」
「ほら咳も出てるじゃん!ちゃんと寝てないとダメだよ」
「嫌だ…こんなかっこ悪いとこ見せたくねえ…」
あのねぇ…
「寝・て・ろ!」
「痛って…てめえ病人に手を出すなんて最低だぞ!」
脇腹を思いっきりつまむと、ガラガラとした声で起こり出す尾神くん。しかしまた激しい咳に襲われ、私に背を向けて口に手を押さえていた。
「…わかったら大人しく寝てなよ。ほら、さっきの服に着替えて」
「くそ…」
ショボンとしながらまたリビングから出ていく尾神くんに、私はふぅとため息をついた。弟達はソファーの近くでカードゲームをやっている。
「遊んでるのにごめんね。隆也くん、炊飯器の場所教えてもらえる?」
「あ、炊飯器はね…カウンターの下だよ」
言われた通りキッチンのカウンターの下を覗くと、取っ手のついているワゴンがありそれを引いてみると炊飯器が収納されていた。
うわ、いいねこれ♪
こんなところに炊飯器がはいるなら、キッチンがスッキリして見えるし。
人数分のお米を研いでスイッチを入れると、部屋着を着た尾神くんがちょうど戻ってきた。
「俺の部屋で遊んでていい?」
カードゲームを抱えた隆也くんが、私のところへ走って来る。
「うん、いいよ!ご飯出来たら呼ぶからね」
「はーい」
洋平とリビングを出ていこうとする隆也くんが、あ!と思い出したように振り向く。
「兄ちゃん!そういえば、また玄関に色々置いてあったよ?」
隆也くんの言葉にピクっと反応する私。“色々”というのは、さっき玄関に置いてあった紙袋や箱のことだろう。
「ああ、俺はいらねえからお前らで食えよ」
「わかったー」
隆也くんはさっきの紙袋や箱も抱えて、洋平と二階へかけあがって行った。
尾神くんはだるそうにソファーに寝転がり、テーブルに置いてあるリモコンに手を伸ばした。
「…お前らで食べていいって…あれって食べ物なの?」
ソファーの背もたれの方から尾神くんを覗き込む。
「多分な…」
「ふーん…」
あれも女の子からのプレゼントだよね。学校だけじゃなくて家にも来るなんてモテまくりだな…
「あんなの大抵手作りの菓子だろ。俺はそういうの無理だけど、隆也が好きだからもらってるだけだよ」
「そうなの?」
「当たり前だろ。見知らぬ女からもらった物なんか食えるか。でも隆也は平気なんだよな…むしろ好きみたいで、もらったやつ全部食ってるよ。だから俺もくれるなら断らないけど」
だから学校でも、女の子からお菓子とかもらってるんだ…隆也くんの為だったなんて、思ってもいなかったよ。
「ご、ごめんなさいっ!」
「おい隆也!なんで兄ちゃん怒ってんだ!!?」
急に怒り出した尾神くんに、洋平と隆也くんはびっくりしている。
「お、怒らないでよ!私が言い出したことで急に決まったから、隆也くんは何も悪くないよっ」
荷物をキッチンのテーブルに置いて止めに入ると、尾神くんは無表情で私を見下ろしてきた。
寝起きで髪ボサボサだけど、それはそれでかっこいいな…
それに今日初めて見る尾神くんに、ちょっとドキドキしちゃう…
「見んなよ」
「え、ちょっ…」
私の目もとを手で隠すとすぐに離し、尾神くんはリビングから出て行く。
大きなソファーには枕と毛布があり、手元のテーブルには空のペットボトルが2本置いてあった。
ソファーで寝てたの…?ちゃんと布団で寝た方がいいんじゃ…?
それに水分は取ってたのはわかるけど、ちゃんとご飯は食べたのかな?
リビングから出て行った尾神くんを気にしつつも、買い物袋から持ってきた食材をキッチンのテーブルに出す。
「隆也くん。冷蔵庫に食材冷やしていいかな?」
「うん、いいよー」
大きい冷蔵庫を開けて食材を冷やし、素早く扉を閉める。
まだ夕飯にはちょっと早いな…
でもお米は炊いておいてもいいよね…
広くておしゃれなキッチンをキョロキョロと見渡してみるが、炊飯器が見当たらない。
あれ?炊飯器ないのかな…
カタ…
するとドアの方に物音がして目を向けると、私服姿で髪を整えた尾神くんがこっちにやって来る。
「何してんの…?」
「ご飯作ってくれるんだろ?手伝うよ」
私に笑顔を向ける尾神くんだが、まだ体調が悪いのかすごく辛そうで顔色も悪い。
「すぐ部屋着に着替えて寝てなさいっ」
「なんでだよ…もう大丈夫だよ…けほっ」
「ほら咳も出てるじゃん!ちゃんと寝てないとダメだよ」
「嫌だ…こんなかっこ悪いとこ見せたくねえ…」
あのねぇ…
「寝・て・ろ!」
「痛って…てめえ病人に手を出すなんて最低だぞ!」
脇腹を思いっきりつまむと、ガラガラとした声で起こり出す尾神くん。しかしまた激しい咳に襲われ、私に背を向けて口に手を押さえていた。
「…わかったら大人しく寝てなよ。ほら、さっきの服に着替えて」
「くそ…」
ショボンとしながらまたリビングから出ていく尾神くんに、私はふぅとため息をついた。弟達はソファーの近くでカードゲームをやっている。
「遊んでるのにごめんね。隆也くん、炊飯器の場所教えてもらえる?」
「あ、炊飯器はね…カウンターの下だよ」
言われた通りキッチンのカウンターの下を覗くと、取っ手のついているワゴンがありそれを引いてみると炊飯器が収納されていた。
うわ、いいねこれ♪
こんなところに炊飯器がはいるなら、キッチンがスッキリして見えるし。
人数分のお米を研いでスイッチを入れると、部屋着を着た尾神くんがちょうど戻ってきた。
「俺の部屋で遊んでていい?」
カードゲームを抱えた隆也くんが、私のところへ走って来る。
「うん、いいよ!ご飯出来たら呼ぶからね」
「はーい」
洋平とリビングを出ていこうとする隆也くんが、あ!と思い出したように振り向く。
「兄ちゃん!そういえば、また玄関に色々置いてあったよ?」
隆也くんの言葉にピクっと反応する私。“色々”というのは、さっき玄関に置いてあった紙袋や箱のことだろう。
「ああ、俺はいらねえからお前らで食えよ」
「わかったー」
隆也くんはさっきの紙袋や箱も抱えて、洋平と二階へかけあがって行った。
尾神くんはだるそうにソファーに寝転がり、テーブルに置いてあるリモコンに手を伸ばした。
「…お前らで食べていいって…あれって食べ物なの?」
ソファーの背もたれの方から尾神くんを覗き込む。
「多分な…」
「ふーん…」
あれも女の子からのプレゼントだよね。学校だけじゃなくて家にも来るなんてモテまくりだな…
「あんなの大抵手作りの菓子だろ。俺はそういうの無理だけど、隆也が好きだからもらってるだけだよ」
「そうなの?」
「当たり前だろ。見知らぬ女からもらった物なんか食えるか。でも隆也は平気なんだよな…むしろ好きみたいで、もらったやつ全部食ってるよ。だから俺もくれるなら断らないけど」
だから学校でも、女の子からお菓子とかもらってるんだ…隆也くんの為だったなんて、思ってもいなかったよ。



