本を棚に戻しながら内心ホッとしていた私。今日は返却された本が少なかった為、作業はすぐに終わる。
もう柳田くんは本を借り終わったかな?本を借りてくれないと、尾神くんもまだカウンターにいることになるよね…
本棚の陰からカウンターの方を覗き込んでみるが、ここからだと他の本棚に隠れてちょうど見えない。
「俺ならここだけど?」
「わ!」
「おっと…」
真後ろから聞こえて来る声に驚き足がもつれて後ろに倒れそうになってしまうと、とっさに尾神くんが私を胸で受け止めてくれて、後ろから抱きしめられているような体制になる。
「…大丈夫?」
「だ、大丈夫っ!」
サッと尾神くんから離れる。
盲点だった…カウンターから私が離れたからこのオオカミは私をつけてきたんだ…
「嬉しいな。俺と2人きりになりたかったからカウンターから離れたんだよね?」
「違うっ!」
「ふーん…じゃ何で?」
う…
尾神くんが私との距離をつめてくる。後ろには壁…このパターンは非常にマズイ。
でも今日の私は違う!なんてったってマスクをつけてるんだから!!
動揺を見せず何が来てもいいというような平然とした態度を見せると、尾神くんはすぐにクスッと笑った。
「何がおかしいの!?」
「それ…もしかして俺からのキス避け?」
え…
これはそうと言っていいのか…とりあえず否定して誤魔化すべきなのか…
私が迷っていると、尾神くんはからかうような意地悪っぽい笑顔を見せた。
「へー。キス避けしてきたってことは…俺からキスされると思ってたってこと?」
「なっ…何言ってんの!?違うよ」
「じゃあ風邪?」
「そ、そう!風邪!風邪なの!」
うんうんと何度と頷くと、尾神くんはニヤリと口元を上げる。
「そっか。なら仕方ない…今日は……」
「へ…?」
そう言うと、尾神くんは私のつけているマスク越しに口に軽くキスをした。マスクをしているのにちゃんと唇の感覚がわかる。
「今日はこれで我慢する。早く風邪治してよ。じゃあまた明日」
「…」
もう何も言い返せなかった。私に背を向けて帰っていく尾神くんを目で追うだけで精一杯…
あいつには適わないんだろうか…
ここ数日間、あいつにどこかしらにキスされてるよな私…
いや!ここでめげちゃダメ!!!
あいつが諦めるまで頑張ろ!今まであのドSオオカミに傷つけられた女子達の仇は私が打ってみせるよ!
翌日
「え?大丈夫?うん…うん。わかった!委員会終わったらすぐ行くから!」
帰りのHRが終わってすぐのこと。春子のスマホが鳴り電話に出ると、春子の表情が険しくなった。私は帰る支度をしながら電話で話す春子を気にしていた。
「どうかしたの?」
電話を切った春子に話しかける私。
「妹が学校で高熱出して今保健室で寝てるらしいの。うちのお母さん今日は仕事で地方に行ってていないから、代わりに私が迎えに行ってくれって。ごめん…今日は委員会終わったら先に帰るね!」
「そんなっいいよ!委員会は私がやるから、妹ちゃんの事すぐ迎えに行ってあげて!」
ほらほらと春子を早く帰るようにと手で払う仕草をする。春子は少し迷ったような顔をしていたが、荷物をカバンに雑に押し込むと肩にかけた。
「ごめんね!今度お礼するねっ」
「いいって!妹ちゃんお大事にね」
春子は私に手を振って、ダッシュで教室を出て帰って行った。
妹ちゃん大丈夫かな…春子の妹って体弱いみたいだから、高熱が出たなんて心配だよね…
もう柳田くんは本を借り終わったかな?本を借りてくれないと、尾神くんもまだカウンターにいることになるよね…
本棚の陰からカウンターの方を覗き込んでみるが、ここからだと他の本棚に隠れてちょうど見えない。
「俺ならここだけど?」
「わ!」
「おっと…」
真後ろから聞こえて来る声に驚き足がもつれて後ろに倒れそうになってしまうと、とっさに尾神くんが私を胸で受け止めてくれて、後ろから抱きしめられているような体制になる。
「…大丈夫?」
「だ、大丈夫っ!」
サッと尾神くんから離れる。
盲点だった…カウンターから私が離れたからこのオオカミは私をつけてきたんだ…
「嬉しいな。俺と2人きりになりたかったからカウンターから離れたんだよね?」
「違うっ!」
「ふーん…じゃ何で?」
う…
尾神くんが私との距離をつめてくる。後ろには壁…このパターンは非常にマズイ。
でも今日の私は違う!なんてったってマスクをつけてるんだから!!
動揺を見せず何が来てもいいというような平然とした態度を見せると、尾神くんはすぐにクスッと笑った。
「何がおかしいの!?」
「それ…もしかして俺からのキス避け?」
え…
これはそうと言っていいのか…とりあえず否定して誤魔化すべきなのか…
私が迷っていると、尾神くんはからかうような意地悪っぽい笑顔を見せた。
「へー。キス避けしてきたってことは…俺からキスされると思ってたってこと?」
「なっ…何言ってんの!?違うよ」
「じゃあ風邪?」
「そ、そう!風邪!風邪なの!」
うんうんと何度と頷くと、尾神くんはニヤリと口元を上げる。
「そっか。なら仕方ない…今日は……」
「へ…?」
そう言うと、尾神くんは私のつけているマスク越しに口に軽くキスをした。マスクをしているのにちゃんと唇の感覚がわかる。
「今日はこれで我慢する。早く風邪治してよ。じゃあまた明日」
「…」
もう何も言い返せなかった。私に背を向けて帰っていく尾神くんを目で追うだけで精一杯…
あいつには適わないんだろうか…
ここ数日間、あいつにどこかしらにキスされてるよな私…
いや!ここでめげちゃダメ!!!
あいつが諦めるまで頑張ろ!今まであのドSオオカミに傷つけられた女子達の仇は私が打ってみせるよ!
翌日
「え?大丈夫?うん…うん。わかった!委員会終わったらすぐ行くから!」
帰りのHRが終わってすぐのこと。春子のスマホが鳴り電話に出ると、春子の表情が険しくなった。私は帰る支度をしながら電話で話す春子を気にしていた。
「どうかしたの?」
電話を切った春子に話しかける私。
「妹が学校で高熱出して今保健室で寝てるらしいの。うちのお母さん今日は仕事で地方に行ってていないから、代わりに私が迎えに行ってくれって。ごめん…今日は委員会終わったら先に帰るね!」
「そんなっいいよ!委員会は私がやるから、妹ちゃんの事すぐ迎えに行ってあげて!」
ほらほらと春子を早く帰るようにと手で払う仕草をする。春子は少し迷ったような顔をしていたが、荷物をカバンに雑に押し込むと肩にかけた。
「ごめんね!今度お礼するねっ」
「いいって!妹ちゃんお大事にね」
春子は私に手を振って、ダッシュで教室を出て帰って行った。
妹ちゃん大丈夫かな…春子の妹って体弱いみたいだから、高熱が出たなんて心配だよね…



