「な、何か言ってよっ」


勇気を出して積極的になったのに、リアクションされないと余計に恥ずかしいじゃん…






ザッ…


すると、凌哉くんは突然しゃがみ込んで下をうつむいた。不思議に思いながら私もその場にしゃがんで目線を合わせると、凌哉くんはガバッと顔を上げる。


屋上にはふわりと柔らかい風が吹いて、私と凌哉くんの髪を揺らす…






「やった…」


そして、子供みたいににっこりと嬉しそうに微笑んで見せる凌哉くん。

その笑顔に照れくさくなりながらも、ドキドキと胸が高鳴る。

前にもこんなことあったけど…何度されても嬉しいもんだな。





「じゃあ…次は「好き」って言ってもらおうかな」

「は?」


調子に乗ったように言って、凌哉くんは意地悪な笑みを浮かべた。





「自分からキス出来るんだから「好き」って言うくらい余裕だろ」

「う…」


確かにそうかもしれないけど…

それはそれでまた違う意味で恥ずかしいよ!





「っ…!」


もごもごと口元を動かしていると、凌哉くんは隙をついたように私にキスをする。

夕日に照られながら、屋上で2人きりのキス…





ガチャ…



「あーーーー!」

「見ーちゃった♪」


唇がちょうど離れた瞬間…突然屋上のドアが開くと、春子達が入ってきて騒ぎ始めた。




「閉会式にいないと思ったら…こんな所でイチャこいてたんだね~」


春子と樹里にからかわれる中、後ろには妃華ちゃんと溝口くんの姿も…!2人は呆れた表情をしながらクスクス笑っていた。






「はいはい。邪魔だからとっとと出てけ。これから続きするんだから」

「っ!」


凌哉くんは後ろから抱きついてくると、私の頬をみんなの前でペロッと舐めた。






「バカ!」


私の怒る声と、仲間達の笑い声が屋上にいつまでも響いていた…






キスから始まった恋は…

甘い甘い恋だった…


秘密のキスはこれからも増えていく…



オオカミとの恋はやめらんない…

もちろんキスもね。



私はオオカミに恋をする。

これからもずっと…




END