オオカミくんと秘密のキス

「きゃーーーーーーーー!♡」


それを見ていたギャラリーは大騒ぎ。まるでアイドルが来たみたいになってる。




私は今だけ…すごく特別な女の子…

お姫様にでもなったみたいな気分だ。







「あー痛かった…」


足つぼエリアをすんなりとゴールした凌哉くんは、私をそっと床に下ろした。





「痛かった?すんごい余裕そうに見えたけど…」


しかも私を抱えてだから、余計足に体重がかかったに違いないのに…





「余裕じゃねえよ。我慢してただけ」

「本当に?」


す、すごい…

顔色ひとつ変えないであれだけの足つぼに耐えるなんて…出会った時から思ってたけどやっぱりただ者じゃないよ。






「よっしゃー!ゴールしたぁ!」

「あー痛いっ」


次にゴールしたのは樹里と絢人カップルで、「痛い」と言って足を押さえている割には余裕だったように見えた。



相変わらず運動神経いいな~

どんなスポーツでもすんなりこなす2人が、昔から裏ましかったんだよね。

しかも私よりも勉強もできるしさ…


そんな2人がカップルだなんて…すごくお似合いだし、私は心から祝福したいと思うけど…






「痛い痛い痛い痛い痛い痛い…!」

「超ーーー痛いんだけどっっ!これ考えたの誰よ!!」


文句を言いながらゴールした春子と柳田くんカップル。






「相変わらず体力ないね~」


床にしゃがみ込んで足の裏をさする春子に、樹里がぷっと笑って言った。





「うるさい!あんたみたいな運動バカに私の気持ちなんかわかんないわよ!」

「でたー!そうやってすぐ怒るとこも変わってないねー」


春子と樹里が口喧嘩を初め、お互いの彼氏が止めに入っていた。





あれ?

さっきよりは仲良くなってない???




私と凌哉くんはニコニコしながら2人に近づいて、お互いの間に入る。





「このまま皆で仲良くゴールしよぉ!」


この調子だといけそうな気がする~

また前の私達に戻れるよね!





「嫌だよ!」

「私も無理!」


春子と樹里は顔をそむけると、私達から同時に離れた。






「ねえ…もうお互いいがみ合うのやめようよ。過去に色々あったのはわかるけどさ…」


さっきの話を蒸し返して申し訳ないんだけど…もう一度改めて言わせて頂きます!






「私がどれだけ傷ついたか沙世にはわからないんだよ。深刻な事なんだからそんなに軽々しく言わないで」


春子は私から目をそらして言うと、ため息をつきながら柳田くんのそばへ行った。


その春子の言葉に胸がズキンと痛み、私は返す言葉を失ってしまった…






「ひっどい。沙世に八つ当たりすんのやめなよ。本当に性格悪いよね」

「裏切ったあんたなんかに言われたくないから」


樹里と春子は余計に火花を散らしてしまった…