オオカミくんと秘密のキス

「私は早く2人が付き合って欲しいから、早めに告白した方がいいと思うな」


また喧嘩になると面倒なので、私が仕切りながら話す報告するに持っていく私。






「…でも告白する勇気ないよ」


そこを頑張ってよ!

私は柳田くんの気持ち知ってるから、相思相愛だって確認した今…早く付き合って欲しい。

じれったいから春子に私の口から言いたいくらいだけど、ここはじっと耐えないとね…





「私にこんなにたてつく位なんだから、告るのなんてヘッチャラでしょ」


メイクを直し始めた妃華ちゃんは、コンパクトなミラーを片手に持つ。





「それと告白は別なの…」


口を尖らせて言う春子。


まあ、そうだよね。

その気持ちはよくわかるよ…





「沙世はいいなぁ…付き合う随分前から尾神くんに告白されてたもんね」

「えっ…」


急に私の話になるの!?





「え!そーなの!?詳しく教えてっ」


目をキラキラさせて、私に顔を近づける妃華ちゃんに驚く。






「教えてって…」

「凌哉が告るなんて全然想像できない!私はてっきり、沙世ちゃんが猛アタックして付き合ったのかと思ってたよ」


…ですよね。

周りから見たら明らかに私からですよね。それは間違ってないです!






「あんたさ…尾神を沙世に取られたからって、2人のプライバシー探るのやめなよ。見苦しい」


春子は「ケッ」と笑って言ったあと、冷めたような目つきで妃華ちゃんを見つめる。





「う、うるさいわねっ。もう凌哉のことなんて好きでも何でもないわ!」

「ふーん…どうだか~子供の時から片想いしてたんでしょ?そんなにあっさり諦められるかね?ま、思い続けてたとしても無理だろうけどさ」

「てゆうか!なんであんたがそんな事まで知ってんのよ!」



私はそれは気になった。

妃華ちゃんが凌哉くんにずっと片想いしてた事を、春子には放していないのに何で知ってるの?






「柳田くんに聞いた~」

「桂吾に!?あいつ…後で覚えてなさいよ…」


ぺろっと舌を出す春子と、拳を握りしめて鬼ような怖い顔をする妃華ちゃん。



柳田くんが話したのか…

凌哉くんと付き合い長いから知ってたのかな。







「こんなこと沙世ちゃんの前で言うのはおかしいけど…本当にもう吹っ切れてるの。心から沙世ちゃんとうまくいって欲しいと思ってるよ」

「妃華ちゃん…」


その表情からして、妃華ちゃんが嘘をついているとは思えなかった。






「どうして急にそう思えたわけ?尾神くんが沙世にゾッコンだから、自分には勝ち目ないな~とか思ったの?」


ニシシシと笑う春子。




「うるさい…でも悔しいけどその通りよ。沙世ちゃんに私は勝てないから…だから諦めたの」


妃華ちゃんの顔はすごく清々しくて、どこかすっきりしたようだった。




私の前でこんな事まで話してくれるなんて…本当は悔しくてたまらないはずなのに…

やっぱり私は、妃華ちゃんのこと嫌いになれないな。






「悔しいからもっといい男見つけてやる~まあ、私モテるからすぐだよね」

「うん、そうだよ!すぐに見つかるよ!あ…でもいくらいい男でも、妃華ちゃんが好きじゃなかったら意味ないよね…」


誰でもいいって事じゃないんだよね?





「も~沙世ちゃんて真面目なんだから~♪」

「う…」