ミーンミンミンミーン…
ミンミンミンミンミーン…
セミの声が耳につく8月に入ったばかりの午後。私は凌哉くんと隣町の駅前のケーキ屋さんにいた。
あれから数日が経ち、妃華ちゃんから凌哉くんがもらったプレゼント旅行の計画が本格的になり、今日はこれから旅行に行くメンバーと会って打ち合わせする予定。
みんなと合流する前に凌哉くんに付き合ってもらって、傘を貸してもらったあのケーキ屋さんに立ち寄った。
「本当にありがとうございました!傘返すの遅くなっちゃってすいません」
貸してくれた傘を返すと、店員さんはニコッと笑って微笑んだ。
「新しいの買ってくださったなんて…なんか申し訳なかっです。こちらこそありがとうございました」
「いえ!あの時風が強くて壊れちゃったので…」
ボロボロになっちゃったから、新しいビニール傘を買って返した私。
逆にビニール傘で良かったよ…私物の傘だったら壊れちゃったら大変だったし。
「ありがとうございます!大切に使いますね。それに今日もケーキを買ってくださって嬉しいです」
返した傘を嬉しそうに持つ店員さんに、私はさっき買ったケーキの箱を笑顔で持ち返す。
「はい!この間ここのケーキ食べた時にすごくかわいくて美味しかったので、今日はこれから友達と集まるのでお土産に買いました」
みんなきっと喜ぶよ!特に女子が♪
「ありがとうございます!そういえば…この間のお誕生日パーティーはどうでしたか?その様子だと素敵な夜を過ごされたんでしょうね♪」
「えっ…」
私と隣にいる凌哉くんを交互に見てニコッと笑う店員さんに、私は顔を赤くした。
その様子だとって…私顔に出てるのかなぁ…
凌哉くんと一緒にいる時点で彼氏だってことはバレてるだろうし、余計に恥ずかしい…
「また是非お越しくださいね」
「は、はい…ありがとうございました」
ぎこちない挨拶をして、私達はケーキ屋さんを後にした。
「あー恥ずかしかった」
歩きながら私が話しかけると、凌哉くんはポケットに手を入れながらフッと鼻で笑う。
「隣で見てて面白かった」
「見てるだけじゃなくてちょっとはフォローしてよ」
ケーキ屋では一言も話さなかったよね?
「わざわざ傘を返す真面目なお前に付き合ってやったんだ…それだけで有難いと思え」
「真面目って…借りたんだから返すのは当然のことでしょ!?」
「俺だったら返さないな」
「サイテー!行きつけのお店なんだから尚更返しに行こうよ…」
凌哉くんはめんどくさそうな顔をすると、私の持っているケーキの箱を手に持った。
「へいへい…これからは俺も出来るだけ真面目に生きることにする。お前と一緒にいたら自然にそうなりそうだけど」
そう言って私の手を握る凌哉くんに、私は手を握り返した。
「そういえば…どこ行くんだっけ?」
「おいおい…暑さでボケたか?旅行に行くメンバーで打ち合わせだろ?妃華は用事で来れないけど、それ以外のメンバーでこれから集まるんだよ」
心配そうな顔をして私を見つめる凌哉くん。
「そうじゃなくて!誰の家に行くってことなんだけど…」
「なんだ…そういうことならちゃんと言えよ。溝口(みぞぐち)の家だよ」
「ああ、溝口くんだったね」
そういえばそんな名前だった!
凌哉くんの友達で今回の旅行に誘ったメンバーの中の1人で、今日はその溝口くんの家にみんな集まることになっている。
溝口くんとは同じクラスらしいんだけど…顔と名前が一致しないんだよね。ごめんなさい。
「さっき圭吾からLINE来て、もう小川と溝口の家にいるってよ」
「そう…」
春子は柳田くんと一緒に行ったのか~
男の子と行動するなんて…昔の春子だったら有り得ないよな。
やっぱり柳田くんのこと好きなのかな?それかもう彼氏とか? うーん。だとしたら私に報告してくるはずだし…
まあ、特別だってことは確かだろうな。今度の旅行でその辺のところ聞いてみよう♪
ミンミンミンミンミーン…
セミの声が耳につく8月に入ったばかりの午後。私は凌哉くんと隣町の駅前のケーキ屋さんにいた。
あれから数日が経ち、妃華ちゃんから凌哉くんがもらったプレゼント旅行の計画が本格的になり、今日はこれから旅行に行くメンバーと会って打ち合わせする予定。
みんなと合流する前に凌哉くんに付き合ってもらって、傘を貸してもらったあのケーキ屋さんに立ち寄った。
「本当にありがとうございました!傘返すの遅くなっちゃってすいません」
貸してくれた傘を返すと、店員さんはニコッと笑って微笑んだ。
「新しいの買ってくださったなんて…なんか申し訳なかっです。こちらこそありがとうございました」
「いえ!あの時風が強くて壊れちゃったので…」
ボロボロになっちゃったから、新しいビニール傘を買って返した私。
逆にビニール傘で良かったよ…私物の傘だったら壊れちゃったら大変だったし。
「ありがとうございます!大切に使いますね。それに今日もケーキを買ってくださって嬉しいです」
返した傘を嬉しそうに持つ店員さんに、私はさっき買ったケーキの箱を笑顔で持ち返す。
「はい!この間ここのケーキ食べた時にすごくかわいくて美味しかったので、今日はこれから友達と集まるのでお土産に買いました」
みんなきっと喜ぶよ!特に女子が♪
「ありがとうございます!そういえば…この間のお誕生日パーティーはどうでしたか?その様子だと素敵な夜を過ごされたんでしょうね♪」
「えっ…」
私と隣にいる凌哉くんを交互に見てニコッと笑う店員さんに、私は顔を赤くした。
その様子だとって…私顔に出てるのかなぁ…
凌哉くんと一緒にいる時点で彼氏だってことはバレてるだろうし、余計に恥ずかしい…
「また是非お越しくださいね」
「は、はい…ありがとうございました」
ぎこちない挨拶をして、私達はケーキ屋さんを後にした。
「あー恥ずかしかった」
歩きながら私が話しかけると、凌哉くんはポケットに手を入れながらフッと鼻で笑う。
「隣で見てて面白かった」
「見てるだけじゃなくてちょっとはフォローしてよ」
ケーキ屋では一言も話さなかったよね?
「わざわざ傘を返す真面目なお前に付き合ってやったんだ…それだけで有難いと思え」
「真面目って…借りたんだから返すのは当然のことでしょ!?」
「俺だったら返さないな」
「サイテー!行きつけのお店なんだから尚更返しに行こうよ…」
凌哉くんはめんどくさそうな顔をすると、私の持っているケーキの箱を手に持った。
「へいへい…これからは俺も出来るだけ真面目に生きることにする。お前と一緒にいたら自然にそうなりそうだけど」
そう言って私の手を握る凌哉くんに、私は手を握り返した。
「そういえば…どこ行くんだっけ?」
「おいおい…暑さでボケたか?旅行に行くメンバーで打ち合わせだろ?妃華は用事で来れないけど、それ以外のメンバーでこれから集まるんだよ」
心配そうな顔をして私を見つめる凌哉くん。
「そうじゃなくて!誰の家に行くってことなんだけど…」
「なんだ…そういうことならちゃんと言えよ。溝口(みぞぐち)の家だよ」
「ああ、溝口くんだったね」
そういえばそんな名前だった!
凌哉くんの友達で今回の旅行に誘ったメンバーの中の1人で、今日はその溝口くんの家にみんな集まることになっている。
溝口くんとは同じクラスらしいんだけど…顔と名前が一致しないんだよね。ごめんなさい。
「さっき圭吾からLINE来て、もう小川と溝口の家にいるってよ」
「そう…」
春子は柳田くんと一緒に行ったのか~
男の子と行動するなんて…昔の春子だったら有り得ないよな。
やっぱり柳田くんのこと好きなのかな?それかもう彼氏とか? うーん。だとしたら私に報告してくるはずだし…
まあ、特別だってことは確かだろうな。今度の旅行でその辺のところ聞いてみよう♪



