色恋 〜Colorful Loves〜

「じゃあ、お気をつけてお帰り下さい」





長谷川くんはぺこりと頭を下げ、顔を上げて私を見つめた。




そのときちょうど雲間から夕陽が射し込んで、長谷川くんの姿が濃いオレンジ色に染まる。




夕陽のシャワーを全身に浴びて、きめの細かい肌がきれいに光っていた。




私はそっと目を逸らし、「ありがとうございました」と呟いて運転席に乗った。




エンジンをかけてゆるゆると車を出し、駐車場の出口を出るまで、


サイドミラーの中で徐々に小さくなっていく長谷川くんは、店の入り口でまっすぐに立ったまま、私を見送ってくれていた。




どきどきと胸が高鳴るのを感じながら、私は、だめだ、だめだ、と必死に自分に言い聞かせていた。