色恋 〜Colorful Loves〜

「お待たせしました。どうぞ」





すぐに戻ってきた長谷川くんが、昨日と同じさわやかな笑顔で玉子のパックを差し出してくれた。





「すみません……わざわざありがとうございます」





私が頭を下げると、長谷川くんがふるふると首を横に振る。





「いえ、こちらこそ、申し訳ございませんでした。

店側が注意しないといけなかったのに、気づかなくて………」





「そんな、長谷川くんは悪くないですよ」





「え?」





驚いたように目を丸くした長谷川くんの反応を見て、しまった、と青くなる。




頭の中で長谷川くん、長谷川くんと呼んでいたから、思わず口に出てしまったのだ。





うわ、やっちゃったな。




客からいきなり名前で呼ばれて、ドン引きしちゃうに違いない。




気持ち悪いよね。