色恋 〜Colorful Loves〜

「お客さま、大丈夫ですか?」





唐突に上から降ってきた声に、私は目を上げた。




そこには、心配そうな顔をした長谷川くんがいた。





「ちょっと、見せてもらっていいですか」





長谷川くんはそう言って、私の隣にしゃがみ込む。





「あ、はい………」




「ありがとうございます、失礼しますね」





長谷川くんはバッグの口を開いて、中を確認した。






「あー……やっぱり割れちゃってますね。

新しいものと交換するので、ちょっとお待ちいただけますか?」





「えっ、いえ、いいです、一個くらい………」





「いえ、遠慮なさらないでください。

お時間、大丈夫ですか?」





「あ、はい………」






長谷川くんはにこりと笑って、ぱたぱたと玉子のコーナーに駆けて行った。