色恋 〜Colorful Loves〜

「あのね、あずさん」





橋本くんがいつもの微笑みを浮かべて、頬杖をつきながら言う。





「ため息はね、つかないほうがいいよ」





べつに責めるようでもなく、説教するようでもなく、



ふつうの話題のように、さらりと橋本くんは言った。





でも、その言葉の内容を理解して、私の顔は思わず険しくなってしまう。






「………ため息つくと、幸せが逃げちゃう、ってやつ?


いいよ、私べつに、そんなに幸せじゃないし。

だから、逃げてっちゃうような幸せ、持ってないから」






年下の男の子に諭されたような気がして、なんだか自分が情けなくなって、




無意識に、きつい口調になってしまった。