色恋 〜Colorful Loves〜

大きく瞠った私の目に、黄色い満月がうつる。



着物の袖が、風に舞い踊り、まるで………




「天女の羽衣のよう………」



ぼんやりと呟いた瞬間、どしんと地に落ちた。



誠一郎さまに抱きすくめられたまま、呆然と月を見上げる。



「いたた………」



誠一郎さまが小さくうめき、ゆっくりと私の顔を覗き込んだ。



美しい満月を背に、誠一郎さまが微笑む。



「お怪我はありませんか」


「………はい、平気です」


「では、行きましょう」



誠一郎さまは自分の羽織を脱いで、私を頭からすっぽりと包んだ。



「急ぎましょう。知られる前に、塀の外に出なくては」



悪戯っぽく笑い、誠一郎さまは私の手を引いて走り出す。



知らず、私の唇には笑みが滲んでいた。




「………誠一郎さま………」




濡れたような月の光が、私たちを優しく包みこんでいる。






月光の囁き * Fin.