いつだって、ヒーロー。



気を使ってくれて、私たちはひと気のない体育館横の階段に座った。


「…大丈夫?」


はい、とジュースを渡してくれた。
浜野くんから受け取ったりんごジュース。


「ありがと…」


改めて2人になると緊張する。
だって本当に私たちしかいなくて、話が途切れるときっと静かになる。

ゴクゴクッとジュースを飲んで、ふーっと息を吐く。


「なんか…久しぶりだよな、こういうの」


久しぶり…

それって付き合ってたとき…って意味だよね?


なんとなく、そういう話を避けてた。

それにこういうって、2人きりってことだよね?


「そ…そうだねっ…!」


そんな話をするのもなんだか不自然で、どうしたらいいのかなあ…。


「俺、1時に藤棚のとこ絶対来ないと思った」


「ど、どうして?」


「だってさー、こんな話すんのも変だけどさ、俺らの関係ってこう…なんつーんだろ…気まずかったりするし…」


青くんも気にしてたんだ…。

そりゃあ、気にしない方がおかしい…のかな?


「けど、来たとき嬉しかった。俺らこのまま付き合う前の関係にも戻らねえのかな〜とか考えてた。あは」


少し悲しそうに笑った。
私と同じこと考えてる。
だからその悲しい笑顔を見ると切なくなっちゃうよ。

私もこれを望んでた。
こうやって、いつか普通に話せたらな…って。
そう思ってたよ。


だからー…


「私もー……」




嬉しかった。





「あれ?宮城くんと永倉さんじゃん?」


私の声はそんな言葉に遮られた。


「あ………」


見覚えのある女の子4人。
あの子たちだ…。


"謝りなさいよ"


1年のときに私にそう言ってきた女の子たち。
あれから何も言ってこなくて、2年になっても誰も同じクラスにならなかったから大丈夫だって思ってたのに…。


「あっ…れ〜?2人って別れたんじゃ…?こんなとこで何してんの?」


ニヤッと笑う。
その不気味な笑顔が怖かった。
『謝りなさいよ』そう言ったあの時の顔も、今の笑顔も怖い…。


「宮城くんモテるから、こ〜んな密会なんてしてたら他の女子に何されるかわかんないよ?」


「お前らっ…」


「……な、何も、ないよ…!じ、じゃあ…ね…!」


私をかばったりしなくていいんだよ…。


私は青くんが言葉を言い終わる前にそう言った。

そして階段を駆け下りて女の子の横を通り過ぎた。