いつだって、ヒーロー。



「なーなー、あれ行かね?絶対楽しい」


えええええええっ!

しばらく歩いて青くんが指差したのは…


「お化け屋敷っ…」


しかも、真緒ちゃんのクラスのところ。

見た目からして異空間な感じ。
教室に明かりなんて全く感じなくて、ストーリーの書かれた看板の文字は赤色。


無理だよ無理だよ無理だよ……!


「あ、泉!」


「ま、真緒ちゃん…!」


たまたま真緒ちゃんが来た。
隣にいる青くんをチラッと見てから私を見て優しく笑った。



"がんばれ"



真緒ちゃんが口パクで言った。

うん。頑張るよ。
頑張ってるよ私。


「はーい、行ってらっしゃい!」


ガラガラっと教室のドアを開けられ、受付の子に背中を押された。


「うわっ!」


そのままバンッとドアを閉められる。
真っ暗な教室には私と青くん2人。
いかにも何か出そうな感じ…。


「と……とりあえず行くぞ」


「やっ!む…無理…」


わかってる。
出てきてもせいぜい人間だって。
同じ学年の子だってわかってるのに…怖いよっ…!


無理だよ本当に無理だよ…。


まだ一歩も足が出ないのに、青くんは行こうとする。


「ま……待って…!怖いよ…」


思ってた以上に暗くて見えにくい。


「ほーらっ。行くぞ」


グイッと手首を掴まれて私の足はようやく動いた。
ハッキリと見えない青くんの顔。
きっと微笑んでる。


手………はさすがに抵抗があったのかな。

付き合ってたときは、手を握ってくれてたな…。


「きっ……きゃーーーーーーっ!!」


そんなことを考えてるとロッカーからバン!っという音と同時に女の人が。
白くてビリビリに破れた服に、顔には血。


や、やだよ…もう…!


「よーしっ!行くぞっ!」


声からして青くんはすごく楽しんでる。
何が楽しいのっ…!


私の心の声は届かず青くんは私の腕を引っ張る。
は、は、走るのっ⁉︎


その後もたくさん出てきて、足を掴まれたり変な声が聞こえてきたり…。

もう半泣き状態。


「ゴールッ!!」


青くんの元気な声と同時にドアがガラガラッと開き、明るい光が見えた。


こ…怖かった…。

もうお化け屋敷なんて絶対に入らない!


「少し向こう行こっか」