あと1cm。
少しでも動けば唇が重なろうというとき。
『青くん…ありがと』
『私、幸せかもしれない!』
なんで頭をよぎるんだ。
いずの言葉が
いずの声が
いずの嬉しそうな顔が
いずのほんのり赤くなった頬が
なんで思い浮かぶんだ。
ああ、そっか。
俺知ってたんだ。
手を繋ぐこともキスをすることも
抵抗があったのは
それを中途半端な気持ちですることは最低なことだって
知ってるから。
アイツが伊藤朝陽にされそうになって
泣いたことも震えてたことも俺はこの目で見たから。
俺がキスをして
ありがとう
幸せだ
そう言ったのも覚えてるから。
だから2ヶ月経っても何もしてないんだ。

