「あ〜…」
どうしてキスをしてないんだろう。
こんなにも俺を好きだと、一途に想ってくれてる奴なのに。
「青…キス…してほしい」
ブレザーの裾をキュッと握ってくる。
上目遣いで俺を見る。
こういう雰囲気だよな。
キスするのって。
周りにはもう人がいなくて、俺と田渕だけが立っている。
駅はもうすぐそこなのに、人通りが少ない道を歩いてきたから人がいないんだろうな。
「…………うん」
手も繋いでないのにいきなりキスっていいのか?
いやもう、この際どうでもいいや。
むしろ高校2年の男がそんなことで悩むって中学生かよ。
子供じゃあるまいし。
俺だって男だ。
余裕だろ。
今なんて中学生でも普通にするよな?
ううん、小学生でもか。
何、躊躇してんだ。
彼女が待ってる。
俺が欲しいって、キスしてほしいって言った彼女がいる。
少しずつ顔を近づける。
目をキュッと閉じて俺からのキスを待つ田渕。

