「わ…私たち、付き合ってるように見えるんだね」
恥ずかしそうに頭をかく。
見えるって…。
「いや、見えるんじゃなくて俺ら付き合ってるんだろーが」
コイツは何を言ってんだ?
「じ、じゃあ…手…繋ごう?」
照れ臭そうにそっと手を差し出してくる。
周りには下校中の生徒がたくさんいる。
涼しくなった10月の風が、さあっと駆け抜けていく。
「ちょ…もう!それ手じゃないじゃん!」
「別にいーだろ?」
俺が掴んだのは田渕の手首。
残念ながら田渕の文句は受け入れない。
なぜか手を繋ぐのに抵抗があるっつーか。
別に嫌なんじゃないけど、心ん中に引っかかる。
手を繋ぐだけなのにな。
頬を膨らまして怒る田渕を無視して歩き出す。
相変わらず、コイツのぶりっ子は変わらない。
むしろ意識してぶりっ子することが田渕にとっては自然なんじゃないか…とか思い始める。

