「え……………今なんて……」
聞こえてるはずなのに、ビックリしすぎて聞き直してしまう。
い、い、今…抱きしめるって……抱きしめるって……。
ボッと顔が熱くなるのがわかる。
そういえば…。
私が泣きそうなとき、抱きしめてくれたことがあった。
そしたら自然と安心できて落ち着くの。
ねえ…いい…かな?
「みやし…」
「宮城くーーん?」
…女の人?
私と同時に青くんの名前を呼んだ声は女の人の声だった。
「田渕…」
前から来た女の子は私たちを見てハッと目を丸くした。
「まだ…そんなことしてるの……?」
少し悲しそうな目をした。
そんなこと…。
そうだ…。
私、吹っ切れるために伊藤先輩と…。
忘れようって…。
いい加減このぬるい決意をどうにかしなくちゃ…。
抱きしめてほしいなんて、安心したいなんて一瞬でも思っちゃうなんて…何してるんだろう。
「ど…どうしたの?口っ…。血出てる」
田渕って呼ばれた女の子は青くんの口をそっと触る。
……っ。
見てられなくて思わず目を閉じる。
青くんは…
もうとっくに進んでたんだ。
止まっているのは
いつまでも動いてないのは
私だけなんだ…。
青くんは
もう次の恋をしてるんだ……。

