そんなことを考えながら歩いてると前から見覚えのある男の子。
大勢の人で見えたり見えなくなったり…。
だけど、すぐにわかった。
……北原くんだ。
隣にいるのは知らない人で、中学のときの友だち…なのかな。
文化祭以来、話してない。
少し……怖い。
居残りをした日も…1年のときみたいなことを…。
ギリギリでよけられたから大丈夫だったけど、それでも嫌だった。
あのキスがどれだけ嫌だったか、どれだけ怖かったか、どれだけ悲しかったか…全部、全部思い出すように頭の中を駆け巡った。
人にもまれて、だんだん近づいてくる。
私はなるべく下を向いた。
気づかれないように。
ドクンドクン、と嫌な音がする。
どうか、気づかないで…そのまま通り過ぎて…。
「そんな男といたら危ないよ?だけど、もう誰も助けに来ないけどね?」
北原くんとすれ違った瞬間。
たくさんの音の中からハッキリと聞こえた声。
それが北原くんの声だってことも、すぐわかった。
…どういうこと?
バッと振り返るけど、大勢の人で北原くんの姿なんて見えなくなっていた。

