そこへお母さんが入ってきて、オレンジジュースを置いた。
そしてまた、再度夜ご飯を食べないか誘っていた。
お母さん、意外にもしつこいんだ……。
「…じゃ、お言葉に甘えます。
どうせ母さんも帰ってこないと思うので……」
「あら本当!?」
アレルギーや嫌いなモノを早乙女くんに嬉しそうに尋ねるお母さんを見て、あたしは驚いていた。
夜ご飯、食べて行くんだ……。
お母さんが出て行き、早乙女くんがあたしを見た。
そして、ニコッと笑った。
営業スマイルなのか、本物の笑顔なのか、見分けるのが困難なほど、可愛らしい笑顔だった。
「ありがとう、呼んでくれて」
「え?
あ…うん、気にしないで……」
恥ずかしくなって、あたしは視線を逸らした。
どうしよう…。
心臓が、壊れそうなぐらい…ドキドキ言っている……。
顔からも、火が出そうなぐらい…熱い……。
「……なんて、言うと思った?」


