「さっき、早乙女くんのお母さんに会ったんだけどね。
お父さんのお仕事が忙しいみたいで、邪魔しちゃいけないから、お母さんにどこか行ってなさいって言われていたから……。
早乙女くん行くところないみたいだからさ」
「あら、そうなの?」
お母さんが早乙女くんを見ると、早乙女くんは苦笑いをしながら頷いた。
「ならいても良いわよ。
なんなら、ご飯食べてっても良いわよ」
「それは悪いので……」
「気にしなくて良いのに。
まぁ良いわ、幸来の部屋に行って良いわよ」
…はい?
あたしの部屋!?
「今リビング汚いから、幸来の部屋行ってて良いわよ。
飲み物、持って行くわね?」
「ありがとうございます」
お母さんがあたしの意見を聞かぬまま、お母さんはあたしの部屋の扉を開けた。
早乙女くんが、あたしの部屋にはいっていく。
お母さんがリビングへの扉を閉めた。
あたしの部屋に、沈黙が広がった。
「…まあまあの部屋だな」
「悪かったわね……」
女の子らしくないシンプルすぎる部屋で、早乙女くんは胡坐をかいた。


