「はああぁぁぁあああ!?」
あたしは人目を気にせず、思い切り叫んでやった。
早乙女くんは顔をしかめ、耳元を抑えた。
「うるせ…」
「人が泣いている時に、ブサイクって何よ!」
「そのままの意味。
ほら、俺って素直だからさ」
「素直すぎるわ!
何も言わないか、大丈夫かとかの一言はないわけ!?」
「は?
何で俺がお前なんかに大丈夫かとか声かけねぇといけねぇんだよ」
「お前なんか!?
早乙女くん助けたのに、お前なんかって何よ!」
「電車の中で泣かれても迷惑だからな。
俺は優しいから、他の乗客のことを助けたんだ。
別に、お前のために助けたんじゃない」
「はぁ!?」
「勘違いするな、単細胞」
「ヒドい!」
「お前1人を助けるより、乗客を助けた方が人数は多いのでね」
「信じられない!
アンタって顔は良いけど、性格最悪だね!」
「最悪で結構」
フンッと鼻を鳴らして笑う早乙女くん。
もー最悪!
「泣き止んだのか?
なら行くぞ、遅延証明も発行されるだろ」
早乙女くんはスッと立ち上がると、丁度停まっていた電車に乗りこんだ。
あたしも急いで後を追った。
少しでも優しいと思った、あたしが馬鹿でした……。


