俺はガム・お菓子を盗みだした。
不思議と腹痛と吐き気は収まる。
外で盗んだものを食べた。
美味しかった。
もっともっと、盗んでやろうと考えた。
サラがハマった気がわかるような気がした。
再び腹痛と吐き気を覚えると、万引きをしにスーパーへ向かった。
顔を覚えられないよう、父さんの持っていた帽子を勝手に被り、監視カメラにも顔が写らないよう心掛けた。
そしてより多く盗めるよう、鞄を持ち歩くことにした。
より多く盗んだ。
ガム・お菓子だけでは足らず、おにぎり・ジュース・小説・ティッシュ。
盗めるものは全て盗んだ。
不思議と腹痛と吐き気は収まり、盗めたんだと言う快感に、俺はドンドンハマって行った。
父さんと母さんは何も言わなかった。
父さんなんて、「そのおにぎりくれ」なんても言いだすほど。
母さんの目から、わかる。
きっと俺が万引きしていること、知っている。
だけど、何も言わない。
母さんは俺のことなんかよりも、自分の欲求を解消させることが第一だから。
学校なんて行かないで、俺は毎日スーパーへ通った。
そしてお客の目を盗んで万引きを繰り返した。
悪いなんて思ってなかった。
悪いのは、俺をこの世へ作りだした両親だ。
自分の欲求を解消させることでしか快感を得られないのと同じように。
俺も万引きをすることでしか、欲求や腹痛、吐き気を忘れることが出来なかったんだ。


