サラさんが出て来ないまま、スーパーの灯が消える。
俺は不思議に思い、閉店間近のスーパーへ飛び込んだ。
「すいません。
ここに綿貫沙羅(わたぬき・さら)がいたはずなんですけど……」
サラの名前を言うと、店員さんは嫌そうな顔をした。
「綿貫沙羅ならいねーよ。
万引きで、さっき捕まった」
「えっ!?」
「おめーは綿貫沙羅の弟か何かか?」
「違います……」
サラは俺を好きだと言った。
愛された経験のない俺は、好きかどうかわからなかったから、恋人とも言えない。
1コ上と言っても学校は違うし。
本当、知り合うはずのない関係だった。
俺が家を追いだされ、夜の街を出歩いていなければ。
「綿貫沙羅は逮捕された。
少女院にでも行くんじゃねーの?
オレには知ったこっちゃねーから」
店員さんは万引きを同じ店で繰り返していたサラのことが嫌いらしく、同時にサラのことを聞いた俺のことも嫌いだった。
俺は1人で、サラの住んでいた家へ戻った。
けどそこには警察がいて。
俺は元の家へ戻った。


