「万引きして何が悪い?
少しぐらい万引きしても、店は困らない?
…どの馬鹿の口が言っているんですか?」
突然の毒舌に、久遠先輩は驚いていた。
だって普段の久遠先輩の知る早乙女くんは、穏やかだもん。
まさかこんな毒舌だなんて、思わないよねー。
あたしは最初から毒吐かれていたけどね。
「万引きしたら、必ず店は困ります。
そしてそれが見つかれば久遠先輩、あなたの家も壊れるんですよ?」
家が壊れる……?
「万引きを同じ店で何度も何度も繰り返すと、どうなるか知っていますか?
知っていたら、やりませんか。
久遠先輩が何度も何度もこの店で万引きを繰り返します。
そうしたらこの店の経営は悪化し、いずれ潰れます。
潰れたら、店長とその店員の明日はどうなるんです?
家族がいたら、夢があったら、壊すことになるんですよ?
先輩方にとって、ただの万引きだと思います。
でもお店の人にとっては、ただの万引きではありません。
そのお店の人の、人生を狂わすことになるんですよ?
先輩方、それを知ってやっていましたか?」
やけに熱がこもっていた。
早乙女くん、万引きに関して、何かあったの……?


