明日を生きる理由

「ゆぅ…。 本当に大丈夫なの? もうすぐ、死んじゃうんでしょう?」
「なんで、知ってるの?」
「やっぱり! なんでよ! 生きててよ…!」
「ごめんね。 僕は、もうダメなんだ。 もう、神様がいちゃダメって言ってるんだよ、きっと。」
「ゆぅ…。」
「あのね、ふぅ。 約束して欲しいことがあるんだよ。」
「なーに? ゆぅのいうことなら、聞くよ。」
「あのね、りぃ…璃子のこと。 真子のことを、思い出すようなことは、極力避けてあげて。 きっと、辛いはずだから。 できれば…。 璃子には、僕のこと、覚えていて欲しいなぁ。」
「りぃが覚えてなくてもっ、ふぅがっ、覚えてるじゃん!!」
「ふぅじゃダメなんだよ。 僕は、璃子が好きだから。」
「ふぅのことは?」
「好きだよ。 でも、友達の好きとは、違う好きを、僕は璃子に抱いてるよ。 璃子は、そんな気ないだろうね。」
「ふぅだって、ゆぅに違う好きを抱いてるもん! 一生変わらないよ!!」
「それがね、変わるんだよ。 人って、薄情なものなんだよ。」
「じゃあ、私、ゆぅの話し方マネする。 びっくりとか、つけない。」
「無理だよ。 ふぅがそんなことしても…」
「意味はっ、あるよ。 ふぅがゆぅのことが好きな限りずっと、ゆぅの話し方マネするよ。」
「そっか…。 天国で、見守ってるよ。」
ピーッピーッ…
「午後3時36分。 ご臨終です。」
「ゆぅ…。 ばぃばぃ…」