「ふぅ! あそぼー」
「あーっ! りぃだぁ! もちろん!」
あれは、神楽町。
「あれ? ゆぅは?」
「ぼくもつれてってよ。」
「ゆぅ!!」


私達3人は、いつも一緒だった。
ふぅこと風夏、りぃこと私、ゆぅこと、三宅 夕陽。
ゆぅは、どうしてるのかな?
今も…元気かな?
ズキッ
…あれ?
ゆぅは…ゆぅ…は…
「ゆ…ぅは…死っ!?」
いくつもの光景がフラッシュバックする。
病院でベットにいるゆぅ。
苦しそうに嘔吐するゆぅ。
寝たきり状態だったゆぅ。
穏やかに目を閉じたゆぅ。
もう目を覚まさないゆぅ。
「ゆぅ…。 夕陽…。 なんで?」
「やっと、思い出したんだ。」
「風夏…。 あなたは、誰なの? 私の記憶にあったふぅじゃない。 なんで?」
「ふぅは私。 それは同じよ。 まだ、完全には思い出してないのね。 じゃあ、いいわ。 あとでね。」
バタンッ
風夏…。
そう言えば、
"璃子は璃子だよ。 信じてる。"
は、いつ言われたの?
思い出せない。
ううん。
違う、思い出したくないんだ。
きっと、そこに大切なことがある。
ねぇ?ふぅ。ゆぅ。…りぃ。
思い出させて、くれるかな?
苦しい記憶だと思うけど…。
ゆぅが死んじゃう運命は、変わらないけど…。
ズキッ
あっ…?

キキーッ
「きゃあっ!? ゆぅ!!」
「クスッ」
あれは…りぃ。
私っ!?
ゆぅが、交通事故にあってるのに、なんで笑って…。
違う、りぃが、私が押したのよ。
ゆぅを。
「ふぅ… 逃げろ!」
「クスッ…。 もぅ、遅いよ。 ねぇ、ふぅ?」
「りぃ…? どうしたの?」
「りぃ…? 違うわ。 りぃじゃない。
私は、真子。 あなたでいう、まぁよ。」
「まぁ…? うそっ!? 死んだんじゃっ!?」
「はぁ? 私が死ぬわけないわ。 りぃが生きている限り、私は永遠に消えない。」
「まぁは、そんな子じゃないよね? ゆぅを…ゆぅを、ころしたりしてないよね?」
「したわよ。 だって、すっごく邪魔で、うるさいし。 そろそろ。 ふぅ。 あなたを殺してもいいかしら?」
「ヤダよ!! やめて!」
「じゃあ、金輪際、私に…。 まぁの時は、近寄らないで。 近寄ったら、ふぅ。 あなたの命はないわ。」
「ふぅのこと、ころすの?」
「えぇ。 私は、もうすぐりぃの身体を奪うわ。 そうすれば、ふぅの命を獲るかもね。」
「ふぅ! 逃げろよ! りぃは…まぁは…にんげんじゃない!」
「あら? まだ生きてたの? ゆぅ。 人間じゃないなんて…。 正解だけど。私とりぃは、二重人格よ。 私は、本来、真子として生を受ける筈だったわ。 それを、璃子は、奪ったのよ…。 最初はね? お母さんとお父さんは、真璃っていう名を女の子に付けようとしていたわ。 それが、双子になった。 だから、真子と璃子に変えたのよ。 でも、真子…私は、生まれた直後に亡くなったわ。 お母さんは真璃にしようかどうか悩んだ。 結局は、私は、1秒だけでも、生きていた。 その証として、璃子と名付けたの。 つまり、私には、生きる権利があるわ。 璃子なんて、いらないのよ。 お母さんも、皮肉よね。 真璃にしておけば、私という人格は生まれなかったのに…」
「そうなの…? なんで?」
「真子。璃子。 この名前が、双子の証だったのよ? 真璃になっていたら、真子なんて名前の子が居ても、あぁ、私は、死んだんだ。 いらないんだ。って思って、この人格は生まれなかったわ。 現に私がそうだもの。 お母さんが、璃子を真璃にしていれば…だけどね。 お母さんが璃子にしたから、私は、私も居てもいいって気付いたのよ。 お母さんも、1人娘を傷つけているのは、自分の付けた名前のせいなんて、知らないだろうね…。 クスッ」
「そんなの!! 間違ってるよ!」
「…なぜ?」
「お母さんは、まぁのことを、忘れないために、リコにしたんじゃないの? マコのことを、忘れないよってことで…。 はやく、来世では、いい人生を過ごしてねって意味で…。」
「っ、うるさい!!」
「それに、居てもいい、と傷つけてもいい。は、違うよ。 マコは、リコの身体にいるのはよくても、傷つけるのは、ダメだよ。」
「…本当はっ、全部気付いているわよ! 私が1人じゃないことも…全部。」
「今からなら、間に合うよ。 つぐなおう?」
「どうやって…?」
「2度と、マコとも、まぁとしても、リコの、りぃの身体をのっとらない。 これが、1番のつぐないだよ。」
「そうね…。 でも、璃子は…。」
「大丈夫。 璃子は璃子だよ。 信じてる。」
「そうね。 あとは、頼むわ…。」
その後、ゆぅは、脳内出血で、亡くなった。
バタンッ