それを知れば、少しは同情くらいする。
手伝ってもいいかな、くらい感じるのに。


そんなこと、一言も言わなかった。



「グレンも言ってくれたらいいのに・・・」

「グレンなりに、ユキの逃げ道を作ってあげようとしてたんだろ」




ノアの言葉に、私は耳を疑う。
逃げ道?
グレンが?



「私が、逃げられるようにってこと?」

「それを聞いてしまい情がうつれば、逃げたくても逃げられないだろ」

「・・・でも、そんなこと。二人が言ってくれた時だって、バッサリ切り捨てたじゃない」




それなのに。
信じられないよ。



「レオさまの事を想えば、簡単には手放せなかったんだろ。それに、逃げ出すなら許可なんてとらなくても勝手に出て行くこともできるし」

「そんな、そんなことしたって無駄だと思って」

「本当に?無駄だと思っても、本当に嫌ならどうにか逃げ出そうとしたんじゃない?」




私は考えた。
確かに、どうしても嫌なら、その結果どうなろうと逃げ出そうとすることはできた。
それでも、私はそうしなかったし、そんなこと考えもしなかった。