「次!私が相手をする!」



見ているだけなんてやっぱり無理で、そう言いながら飛び出した。




「な!」



声をあげようとするノアにしーと人差し指を口に持っていく。
私の顔を知っている人はほとんどいない。

式で国民の前に立ったとはいえ、国民の位置からは私の顔までは見えなかっただろう。




だから、私の正体がわからない今がチャンスなんだ。






「な、女が相手かよ!」



次の志望者が、あからさまに嫌な顔をする。
試験管の騎士が慌てて黙らせようとするのを私が制した。




「文句は勝ってから言いなさい」



そう言って剣を構えた。





「ったく、しらねぇぞー」



ノアが呆れかえっている。