「具合はどうだ」
「・・・うん。体中痛いけど、なんとか」
「骨折はなく、打ち身がひどいようです」
フランが状態を知らせてくれ、俺はそれに礼を言う。
フランは一度礼をすると気を利かせ部屋を出て行った。
「心配させやがって」
「・・・ごめんね。やっぱ、どうしても体が動いちゃう」
「無事でよかった」
側の椅子に腰かけ、そう言いながら頭を撫でる。
すると、嬉しそうに頬をほころばせ笑った。
愛おしい。
こんな感情があることを初めて知った。
自分が、こんなにも独占欲が強いなど、初めて知った。
「俺が、お前を運びたかった」
「え・・・」
「フランに運ばせたくはなかったのにな」
思わず口をついて出た不満に、ユキは目を丸くさせた後顔を真っ赤に染めた。
そんな姿も愛おしいと思う。