「なんで、今それ・・・」



思わず、溢れた本音を漏らす。
私は今、レオの話を。




「お前が、死んだと思った時・・・。もっと、話を聞いておけばよかったと思った。俺は、人づてにしか聞いたことはなかったからな」

「・・・私にとっては、すべてだった。家族がいて、友だちがいて。当たり前に毎日が来て、当たり前に過ぎていくものだと思ってた」





交わされない視線に、一つ息を吐いて。
視線を伏せた後、再び前を向いた。





「私の家は、お父さんが道場をしていて。そこで剣道を教えてる。私もそこで剣道を習った・・・。そこそこ強くてね、大会で何度も優勝とかしたんだよ」

「それ故の強さだったんだな」

「でも、お父さんは最近、私に女らしくなれって口うるさく言うようになって。大会には出なくなった。お父さん的に、私がいき遅れるんじゃないかって心配だったみたいだけど・・・。まだ私高校生なのにね」

「高校生?」

「ああ、学校っていうのがあって。勉強を習うの。同じ年の子どもたちが同じ一つの建物に集まって、机に向かって勉強する。そこで友達が出来たり、恋をしたり・・・」





当たり前の日々だと思ってた。
でも、当たり前のことなんて、ないのかもしれない。