「・・・そうだ。噂聞いたよ」




私の声は空に吸い込まれていく。
静かな夜に、私の心臓の音が響いて生きそうで。




「婚約の話・・・出てるんでしょう?」





レオの顔が怖くて見れない。
震える手を欄干に押し付ける。





「・・・聞いたのか」

「や、っぱり・・・本当だったんだ」




やばい、泣きそう。
どこかで、そんなもの勝手に言ってるだけだとか、否定してほしかった。
私はどこかで、この世界に残る道を求めた。




「お前の世界は、どんなところなんだ」




不意にレオが尋ねた。
私は視線をレオに移す。
レオは、ただまっすぐ見ているだけ。